iwayamarock’s diary

シンガーソングライター、岩山泰輔のその時思ったことを書いていくブログです。

岩山哥劇団というものの意図、ネタばらし

いやはやいやはや、気が付けば季節の春はすぐそこまで迫っておりました。久々のブログ更新で更新の仕方をすっかり忘れて右往左往した後にここにたどり着いた人、岩山泰輔です。

わたくし、ここ4、5ヶ月は岩山哥劇団の設立やトリプルギターでの初ライブ、アコースティック装飾空間対バンイベントに、緞帳作って本来ないはずの下手花道を無理矢理開拓しながらはしごを備え付けてそこで歌ったりしてたライブハウスワンマンなど、とにかく哥劇団尽くしの生活を営んでいた次第でありまして。自分達のことでとにもかくにも精一杯な状態であるのですけども。

そういう自分の生活が目まぐるしくごった煮返しになっている中、日本国内を始め世間世界様も凄まじくごった煮返しであったようでありまして。
この4、5ヶ月で世間世界様で起こっていたこと或いは現在進行形で起こっていることを掘り起こすだけでも今回の更新が終わってしまいそうなのでいやはや。

そちらへのコメントは差し控えさせて頂きます。


そんな中での今回のテーマは「岩山哥劇団というものの意図、ネタばらし」というところに焦点を当て、進んで参りましょう。
何、前の更新より文体が芝居がかってる?回りくどいって?そりゃ哥劇ですから。
すっかり回りくどい病に毒されてしまったわたくしですから。


岩山哥劇団というものの原型をぼんやりと意識し始めたのは恐らく去年の9月頃、「ワンマンをやるぞ」という予定を立て始めた辺りであり、僕のソロのライブパフォーマンスが以前よりもっと演劇的なアプローチに接近し始めていた頃ですね。
ではその話から、岩山哥劇団の根底にある目標へと順に繋いでいこうと思います。

今回、多分過去最強に長いよ!!
飛ばし読みでも全然可。

それではそれでは。


①ワンマンをやることの必然性

まずワンマンをやるという自分の中であった必然性について話していくと、ソロをやる中である種の行き詰まりの過程があったんです。
近年世間世界の日本のシーンではフェス文化というものが目に見えて台頭、生活の中に浸透していってることはバンド関係者音楽関係者のみならずより明白なのではないかと思います。
僕個人にとってフェス文化は、かなり乱暴に括ってしまうと対バンライブイベントの巨大化というところにあって。(あくまで僕個人の主観ですよ。)


僕もこれまでバンド活動というものを始めてから、基本的に対バン方式というものと密接になってライブ活動や表現活動を行ってきまして。というかそれ以外のやり方を知らなかったって言うのが正しいのかも。

で、対バン方式ということで大体5、6のバンド各グループがおよそ25~30分の持ち時間の中でライブをして、イベントを行うというものなんですけど。
僕にとってそれはすごく自然な当たり前のライブイベントの進行の仕方で、当たり前のものだったんですね。


そういう状況での僕の中の表現における無意識レベルの前提として、「いかに人と違うことをやるか」っていうのがあって。

僕の中のその思想は、盟友達とバンドをやっていた頃はある種各バンドの個性として機能していたんです。
5、6バンドもいるわけですから、やっぱ他と同じことをやってると差別化できないし、誰かに覚えてもらえないしっていう意図の元、バンドメンバーに支えてもらいながらそういう個性みたいなものを構築しようとしていたんですけど。

そこからソロという活動形態になった時、自分の表現における発想をそのまんまはめようとして、はまるシーンや場所がほとんど周りにないことに気がついて。
さっきのバンドメンバーに支えてもらってていう言葉の肝はここにあるんですけども振り返った時、僕は他のメンバーの普遍性に僕の個性や自我の成立を助けられていたんです。
僕がどんなに好き勝手やりたいことをやりたいようにやっても、他のメンバーのロックバンドであろうとする姿勢が、僕の住所をロックバンドでいさせてくれたんですよね。

だから結局、ソロになった瞬間に僕の個性が強く浮き出すぎてしまって、はっきり言ってどこにも溶け込めなくなってしまったんです。
それまでは僕のアクが強くても他のメンバーの持つ普遍性やポピュラリティが中和してくれて、ある一定のカテゴリーに落ち着けられたんですが、ソロになった瞬間その住所が突然なくなっちゃって、ホームレスになっちゃった。

僕のどの辺の個性が強いのかっていうのは、日頃の僕のツイートやイベントの内容を参照していただくとして。
つまりはソロでピンの僕を見た時、



「お前色々やってるけど結局一体何なの?」



ってなっちゃったっていう。
これで去年8月頃凄く深く悩んだところでありまして。



②「なんでもやる」て何をやんのよ

思うに対バン、フェスとかって、ある種一定の枠、一定のジャンルやカテゴライズの中で出演者がちゃんとおさまってるから成り立ってる部分ってあると思うんですよね。
だってフェスやるぞっていって、邦ロックバンドがいくつか出演した後に、同じ会場でドヴォルザークの「新世界より」をどこかのクラシック楽団が弾くステージがあるイベントがあるとしたら、ちょっと「?」ってなるじゃないですか。
つまり邦楽のロックという、あるジャンルの中で多様性を見せようと様々なアーティストが出演するからイベントの趣旨や客層がはっきり固まって、イベントやビジネスとして成立するのであって、そこから飛躍し過ぎたらお客さんや主催者や誰かの理解の範疇を越えてしまった、と。

でも僕はロックバンドが出演した後に新世界よりを演奏するようなイベントをやりたいと平気で考える人間なので、その時点で世間の潮流との噛み合わせが合わなくなるんですよね。
そんな僕のやりたいことをやりたいようにやる場合、今のメインストリームに僕の居場所ははっきりいって無いんじゃないかっていう。

かといって、じゃあ路上に出てどこかの枠の外でやっていこうとすると、これまた僕のアクの強さが全然路上に噛み合ってくれなくて。これは去年7月に東京と名古屋と静岡で路上の旅に出たとき思ったんですけどね。

路上ライブという解放された空間では、或いはずっと世間という枠そのものに接続されている路上の世界では、世間に噛み合わない僕が好きにやっても誰かに届きづらかったというのが路上ライブをやってみた僕の感想で。

僕はやっぱり異形の存在に心惹かれる部分があって、それを自分の表現の中でも出現させていきたいんですけど、僕の求める異形は、世間ではまだ求められていない異形だったわけです。

じゃあもう、欲しい異形を好きに出現させても文句の言われない閉鎖空間。
ワンマンしかないなっていうのは、自然の成り行きだったんです。


③密室の空間に空想の具現化を

演劇的なアプローチへの接近についてなんですが、思うに僕にとってのロックとか作曲とか歌は全部、僕の頭の中に閃いた空想を形にして世の中に具現化するための手段であり。
その頭の中に最初に出てきた空想に、ジャンルやカテゴリーというものは本来ないんですよね。

あるとすれば、「これはかっこいい」「これはそんなでもない」っていう直感しかなく。 
なんなら音とか曲とか歌だけじゃなくて、想像した瞬間の頭の中の空間そのものを切り取って僕は出来るだけ現実の世界に顕現させたいと思っていて。

これはある種ゲーム的な発想かもしれませんが、空想の中にだけあった世界や空間も人も文化も価値観も全て舞台の上に引っ張り出して、自分という操作キャラをその舞台の世界観に見合うものを纏わせて操作するという感覚が一番近いかもしれません。

僕はその切り取った世界の中で限定するなら、美しい天使にも醜い悪魔にもなりたいし、空も飛びたいんです。

だからたぶん、そんなファンタジーの世界を現実的にそれをどうするのかというのを考えたときに演劇的なアプローチに行き着くのもまた必然だったと思います。

それとやっぱりある意図の元作られた空間というものが力を作用させられる距離の限界というのは路上ライブの時にも感じていて、この方法論は密室や閉鎖空間のワンマンライブだからこそまだコントロールが可能なのかもしれませんね。

そこがバーとかアリーナとかスタジアムとかどんな広さであれ、枠として限界を設定されているからこそ表現できる世界があるんだなと思って。
路上でのそれというのも、技術や人材や経済力が揃ったときにやってみたいんですけども。



④想像を形にするための岩山哥劇団

じゃあその技術や人材、経済力をどう構築していくか、どう自分の住所を作っていくかという時に、劇団だ!
ということになったわけでございます。
劇団という括りにこれをいれていいべきかというのは悩みどころなのですが、少なくとも現時点において一番僕の目標である「想像をただ形にすること」を許される環境であるのは確かだと思っています。

異世界を現実世界に顕現する、つまり現実とは異なる価値観も文化も人物も存在する世界とその物語を呼び起こすというものは、ロックバンドというものが内包する要素ではあると思うんですよ。
聖飢魔IIとかX JAPANなんてその限りだと僕は思いますしね。大好きなんですけども。

しかし結局ロックバンドとカテゴリーに分類されるものである以上、いずれにせよ表現できる世界の限界がある。ならそれに適した環境や組織を自分で作るしかないと思ったんですよね。

逆に言えば哥劇団においてロックであるということは思想の根底に確かにある要素ではあるものの、わかりやすく表に出さなければいけない要素だとは思っていません。
今は、哥劇団というものの中身をお客さんや団員の皆さんに知っていただくため、一番わかりやすく一番自分がやって来た方法論であるロックバンドという形式を採用しているだけです。
それをショーとしてそのときそのとき形にしているだけなんです。

僕の目的はあくまでただ「想像を形に出来る」環境の構築であって、その中身がロックであろうとクラシックであろうとテクノミュージックであろうと、舞台演劇であろうと映画であろうと映像作品であろうと、何であろうと面白ければそれでいいんです。

その「空想」の出所が僕であろうと、僕でない他の団員であろうと、僕が一番求めているのはただ面白いことです。
僕は僕が面白いと思う空想を周りに誰も僕にあまり見せてくれなかったから自分が面白いと思える自作自演の空想をステージで表現してきただけで、他の人が代わりに面白いと思えるものを提示してくれれば僕はなんだっていいと思っています。


⑤お前の空想で世界を揺らしてやれ

そしてこの環境を必要としているティーンエイジャー、アーティスト、職人やその他もろもろの人々はもしかしたらこの世界にたくさん存在しているのでは?と僕は思っちゃったりなんかしているのです。
僕の目的がただ「自分の想像を形にする」ことであるなら、相手がロックミュージシャンであろうとトラックメイカーであろうとジャズプレイヤーやクラシック奏者であろうと。

いや、どんな人間も関係ない。
ただただ「自分の中にあるよくわからないけど尋常でない何か」を引っ張り出す必要性に駆られているのに、それをどうしてもうまく形に出来ない人であるのならば、僕らの間に境界線なんてものはないはずです。



必要なものはここに全てある。
お前の中にある景色を、憧憬を、ここに顕現して見せろ。



そう自分も含む誰かに言えるために、僕は岩山哥劇団を作ろうと思いました。
今、前例のないこの劇団にぼんやりとしたビジョンや目標を提示出来るのはもしかしたら僕だけかもしれません。
だからもしかしたら今は、
岩山哥劇団=岩山泰輔
という中身になっているのかもしれません。

だけど僕は、僕や他の団員の方やまだ見ぬ悩める表現者と共に、アマチュアもプロも関係なくただ「自分の想像を形に出来る」環境として岩山哥劇団を提供できる時までもうちょっと進んでいこうと思います。
願わくばその「空想」が、誰かにとっての嘘偽りのない本心が産み出した美しい幻想であることを祈っています。

その思いだけは、僕がこれまでやって来た最果テもDog mob incidentも木田マーチングもソロも、全てにおいて一貫していたものだと自負しています。





⑥大人も子供もプロもアマチュアも、やりたい奴は皆集まれ岩山哥劇団

はい、とまあそんな岩山哥劇団でございます。風呂敷のスケール感をやたら広げようとした前項までですが、僕が一番大切にしたいのは「想像を形にする」ことだけなんですよね。
だから、哥劇団を通して何かをやってみたいと思われている方には、無理に肩肘を張って欲しくないと思っています。

結局僕は、子どもが公園の砂浜で作っているものを、誰もがビックリするくらいのでかさで見せてみたいだけなんです。だから中身が砂利だったって何だったってなんでもいいんです。

僕は砂利でもなんか作るぞ~っていう人の持つ純粋な創作欲求とそれによる自己表現に興味があるだけで、その人に技術があろうがなかろうがそんなことは詮なきことです。

誰かから見て砂利だったとしても、本人にとってはダイヤの欠片かもしれませんし。

僕はただ、全長50mを超える巨大なガンダムのようなロボットをとりあえずその場に砂利で建造して、「すごくね?」っていいたいだけなんです。
人間のそんくらい純粋な表現欲が指し示す光明を信じてみたいんです。



⑦おわりに

現在岩山哥劇団、春から8月一杯までワンマンロックショー
「シネマティック・パンク・オーケストラ」
を予定しています。

プロジェクター映像使ったり、ステージが客席の四倍あったり、クライマックスでギターが分身したり、見所たくさん。
月ごとで少しずつショーの演目も演出もバージョンアップしていきます。逆にいうなら同じショーは一度きり、二度と見ることは出来ません。

うちは特殊なんで、公演ごとや演奏する曲に演目ごとでメンバーが全然違います。
なので同じショーは一度きり、二度と見ることは出来ません。
大事なことなので二回言いました。
逆にやってみたいなら、どうとでもなるんです。一曲だけでも一芝居だけでもなんとでも。

あなたがお客さんとして見ていたその1ヶ月後に、あなたが演者としてまた誰かにショーを届けることだって、出来るんです。


気になった方々は演奏会でも、舞台演劇でも、映画制作でもなんでもいいので、やりたいことがある人は、この指止まれ。

とりあえず、
●ギター弾きたいけどやり方わかんない。
●ベース弾きたいけどやり方わかんない。
●ドラム叩いてみたいけどやり方わかんない。
●曲作ってみたいけどやり方わかんない。 
●歌を歌ってみたいけど、人の集め方もやり方もよくわかんない。
●面白い中身を写真で撮ってみたいんだけど、そういう場所知らない。
●他では絶対やらせてもらえない無茶苦茶な演劇を作りたい、演じてみたい
●なんかよくわからんけど爆発したい

っていう人がいましたら、全部当劇団の守備範囲ですので、ぜひおいでください。
岩山哥劇団、月会費2000円。
こちらでなんでもこたえてみせよう。


まだ見ぬ世界を見たい人、作りたい人はどうぞ僕にご連絡を。


お前の世界を見せてやれ。


岩山哥劇団 主宰・総監督
岩山泰輔